「希望」

   先月、一触即発の状態の中で、人はなぜ「平和」に暮らせないのかと思って暗然としていたら、その後ひと月の変化には驚かされた。あの「ロケットマン」が突然に「平和攻勢」に変異してしまったのだ。途端に、世界中が疑念を持ちながらもこれを歓迎して、許容しようとしていることは当然でありそうあるべきである。リスク懸念から下がり続けたドルが急遽戻り始めたのにも、世界の一応の安堵が窺えた。しかるにである。一方の「お騒がせトランプ」は一向に変わろうとせず、その後も国内ばかりか、世界中に問題発言を繰り返しているのには「つける薬」はないようだ。この事では世界中の国々が何らかの影響を少なからず受けて攪乱させられているのは、はなはだ迷惑千万な話である。

   今ほど各国の指導者の質が問われる時はないのではないかと思われるが、今この大事な時期にどの国の指導者にも何らかの欠陥があり、世界から尊敬され一目置かれる人物がいないことは不幸の極みではないのか。なぜ今各国の指導者の質が低下してしまったのか、なぜ今人材が生まれて来ないのか、いないことはないドイツのメルケル首相等はその一人には違いないのだが、国内問題で支持を失ってしまったことは残念でならない。各国とも今は民主主義の劣化か混乱かの嵐の中で急速に政治力が低下して、人材が生まれづらい土壌ができてしまったのだ。その原因の根幹にあるものは、経済至上主義と経済環境変化に伴う格差ではないのか。ネット社会ではその変化も状況も世界共有のものとなり、現状との違いは即座に判明され不満にとなってしまう。このこと自体は政治家の責任ではないが、自分たちも対応出来ずに振り回されてしまっている。

   我が国も同様に、醜くももがきながら出口のない壺の中で拙い政争に明け暮れて、国民はそっちのけで自分たちの立場保全に汲々としている姿は、人格などというには場違いの世界である。最近のニュースによると、安倍首相が新人公務員の入省式での挨拶で「一人一人が強い倫理観を持って仕事に取り組んで頂きたい」との賜った聞いて、この人の頭と神経はもはや国民から遠くかけ離れた別世界に浮遊しているのではないかとさえ思った。早く地に足をつけた国民のために働く本物の政治家を育てなければ日本も危うい。

2018年04月08日 | カテゴリー : 今月の一言 | 投稿者 : ハンドレッドリーダーズ