「戦後は遠くなりにけり」とは良く言われることだが、70年も経ってくると、もはや戦後とも言えなくなっている。その間貧しい時もあったが、ひたすら働くことだけに傾注していれば、特に問題もなく、全く平和な時代が続いて来たものだと改めて有難く思う。が最近はその弊害とも思われる症状が、至る所に顕在化して来て社会問題化していることに留意せねばなるまい。無気力、無責任、自殺者の増加、少子化、精神異常者や異常犯罪の増加、身勝手な甘えによる犯罪、等々数え上げればあれもこれもと、一本も二本も箍(たが)が緩んでいるどころか外れている感じさえする。
なかでも特に問題なのは、「危機意識」の無さから来る「危機管理能力の著しい低下」ではないだろうか。あの原発事故しかり、その後の頻発する汚染水垂れ流し、多発した北海道鉄道事故、その保線管理の出鱈目さ、近い所では川崎の脱線事故等と際限が無い。全てに共通していることは、緊張感の無さであり、危機意識の欠如である。怠慢、マニュアル無視、等およそそれを職業にしている人間とはとても思えない所業である。「職業人の誇り」等はもはや歴史上の遺物でしかないのか。あの安全神話を作り上げてきた「謹厳実直」な日本人は何処に行ってしまったのか。今その神話が崩れてしまっている日本にはもはや「安全」等存在しえないのだ。
真の「プロフェショナル」はあらゆる現場で高齢化による喪失となり欠如している今、「安全」を確保する特別な「策」を早急にたてて対策しなければ、今当に今後の日本にとって重大な禍根を残すことになるだろう。
国民一同揃って緩んだ「箍」を締め直さねば、原発等とても使える筈もない。「安全」は今や「科学や技術」の問題ではないのだから。