「知りて知らざるは上なり、知らずして知るは病(へい)なり」 「知る者は言わず、言う者は知らず」

  共に「老子」に書かれている言葉である。「知っていても知らない素振りをするのが一番良い、知らないのに知ったかぶりをするのは良くない」又「真実を知る者は何も言わない、軽々しく口にする者は真実を知らない者だ」という意味でしょう。

  「戦場慰安婦問題」で知ったかぶりで発言してしまった「橋下維新の会代表」に批判の声が上がっているのはけだし当然である。そういう一面が有る事も事実であろうが、誇り高き帝国軍人の中には一度も利用しなかった軍人も多数いた事も事実である。そのような軍人にとっては屈辱的発言と言わざるを得まい。過酷な戦場では奇麗事は通用しない事は容易に想像し得ることではあるが、そのような死を目前にした状況の中でさえ、尚人間として武人として尊厳を失わなかった方々が多数いたことも事実であったろうし、一方には「餓鬼」と化し強奪、暴行、陵辱、殺戮と犯罪の限りを重ねた事も悲しくも事実であったろう。戦争で最大の被害者は戦場と化した国民であり、婦女子ではないだろうか。だからこそ戦争などという解決策は絶対に執るべきではないのだが。

  それにしても、最近の「橋下発言」には支持者を認じて来た私でさえも耳を疑うものが多いのには、安易に人を信じてしまう我が身の未熟さに辟易しだしてきた。彼は今、ぽっと出の大阪の首長だけではなく、国政を担う議員集団の代表なのである。それもこの日本国に維新の風を起こそうとしている集団のであるから、もう少し「思慮と胆力」を持ち合わせてもらいたいものだ。もう一人の「石原代表」にも言える事だが、後で言い訳をしなければならないような事は軽々しく言うべきではないのだ。公人としての自覚も指導者としての思慮も足らない、はた迷惑な発言を軽々しくして物議をかもすのがお好きのようだが、自分の思想や価値観は友人達との雑談の中だけにして頂きたいものだ。もはや言いたい放題が言える立場ではないのだから、言いたい事も腹中に留め置き、時と場面を考慮して行動する「胆力」が必要ではないのか。

特に下半身に関する内容のものは、聞く方も余り気持ちのいいものではないし、お互いに人間として許しあえる範囲での「暗黙の了解」事項なのではないだろうか。

  「維新の会」の勢いにかげりが出て来ている今、こんな粗雑な発言をする気が知れない。日本に維新を起こす大目的はどうなってしまったのか、もう一度世間の人々を驚かす程の斬新で夢のある発言が必要な時なのである。小さな問題や過去の認識などに拘るより、これからの大問題に一石を投じて国民に希望を与える筈ではなかったのか。

論語に「速やかならんことを欲すればすなわち達せず、小利を見れば則ち大事成らず」とある。焦って事を成そうとすれば成功しないし、目先の事に目を取られていては大事を成しえないという言う意味だ。もう一度初心に戻りはらを据えて出直してもらいたい。

2013年05月29日 | カテゴリー : 今月の一言 | 投稿者 : ハンドレッドリーダーズ