良く治まっている国では、君主が撥(ばち)を打てば、臣下はこれに呼応して太鼓が鳴るように一勢に実行する」とは「韓非子」にある言葉だが、また「右手に円を画き、左手に方を画くは、両つながら成す能ず」(右手で円を画き、左手で四角を描こうとしても両方とも上手くいかない)とも言っている。
現代は王朝時代や君主制ではないから、そうは簡単にはいかないのが当たり前だが、議会制民主主義では全てが対立の中で多数派工作をして、上手くいかなければ又調整をしての繰返しをしている内に期限切れとなって廃案となる。これの繰り返しをして何も決まらず、何も進まないのが政治の世界では当たり前になってしまっている。その間政治家はべらぼうに高い歳費を貰い、ボーナスまでも貰って、その上政党助成金までついてきてウハウハ遊んでいられるわけだから「三日やったら止められネー」わけだ。選挙では選んで貰わないと、この「美味い話」もなくなってしまうので、大衆迎合のバラマキだけは怠らない。国民も理性的に判断する人々よりも、貰うほうがいいに決まってると安直に考える民衆のほうが多いと考えるので、かくて安直な「ポピュリズム政治」が横行し、国中の蟻が群がって食い潰しているのでは堪らない、今世界中の民主主義国家が債務超過に陥っている。民主主義の危機である。今この不完全民主主義をどう修正すべきか問われているのだ。
地方政治は首長は全て選挙で選ばれているので、一応主導出来る体制ではあるが議会の承認を得なければならないので、やはり多数派工作が必要では有る。それを大衆を味方にして、やって見せたのが石原知事と橋下知事であった。国民も馬鹿ばかりではない、きちんと筋道をたてて正論を説けば七割の国民は理解する筈である。その手間は省いてはいけない。それが民主主義なのだから。野田総理に欠けているところは、テレビを使って国民に直に訴えていかないところであろう。そこは小泉さんを見習ってもらいたい。 「人心掌握力」もリーダーの必須条件の一つである。