平常心を保ち心安らかに過ごすには欲望を少なくするのが一番だ、と言う意味の孟子の言葉である。私達はなんと不平不満が多い事だろう。過食で病気になる程食物は溢れ、それでもまだ美食を求めて際限がない。流行に流されて買っては捨て捨てては買い、未だ使える物や真新しい物までゴミにしてしまい、それでもまだお金が無い事を恨んだりしている。
私たち昭和初期の人間には想像も出来なかった時代に生きていますが、それでも幸せとは感じられなくなってしまった自分に恐ろしささえ感じるほどです。先日の新聞によると、ある資産家の60歳代の姉妹が、資産がありながら税金の滞納で差し押さえされて、ガスや電気も止められた中でひっそりと餓死してしまった事件には様々な思いを込めてショックを受けたものです。今新しいコミュニティが叫ばれている中で、向こう三軒両隣的交流が全く断たれているのが大きな社会問題の根っこにあるのも事実であるし、なんとも暗い世相を一層暗くしている原因の一つでもある。私たちも欲望の充足にばかりに走らずにもっと自分の生き方に賢くあるべきである。一方、人間に欲望があるから向上もし進歩もするのである、その意味では近年の若者には強い大きな欲望が欠けている感じがする。不平不満や泣き言を言う前に自分から取りに行かなければ手には入らないのだ。「求めよ、さらば与えられん」である。まさに欲望とは「両刃の刃(もろはのやいば)」なのだ。賢く使い分けをしてこの不況の時代を過ごしたいものだ。