なんという気持ちのよい響きであろうか。これほど最も日本的で又最も日本人に似合う言葉はないと思う。だが現在では、一部の方々を除いては、殆ど死語に近いほど接する事が無くなってしまったのに気が付いた。残念ながら、それはそれに相応しい姿に接する事が少なくなってきたからであろう。
「いちず」とは意味は近いがニュアンスが一寸違う。苦しくても、辛くてもひたすら目指した道を目的に向かって一歩一歩歩み続ける姿が見る人の心を打つのである。額の汗と人知れず流す涙がよく似合うし、またそれを拭う手が美しい。思わず目頭が熱くなる感動のシーンである。宮里藍・・・この度メジャーで初優勝したシーンをテレビで見た時に、久方ぶりにこの言葉と感動を思い出させて貰った。国内で連勝し始めると、直ぐにメジャーを目指し渡米するも、勝てそうで勝てず苦しんで低迷した時期もあり、やはり通用しないで戻って来るのだろうかと思っていた。 しかし彼女はその度に「課題が判ったから見込みがついたのでいつでも勝てますよ」というような強気の発言を繰りかえした。その弱味を見せない姿には、あの藍ちゃんの可愛らしさはもうなくなっていたから見る機会も少なくなっていた。ところがこのたびの決勝戦を観てその成長した勝負師としての毅然とした姿に驚かされた。強さと心の余裕さえ感じさせてくれた。が最後のパットが決まった瞬間、帽子のひさしで顔をおさえて涙を隠した姿には今までの苦労が滲み出ていた。そのはしゃがずに終始落ち着いた態度には、「人事を尽くして天命を待つ」という勝負の世界に生きる厳しさを十分に解っている姿が見えた。おめでとう。お父さんお母さん、本当におめでとう。